iDeCo(個人型確定拠出年金)と企業型DC(企業型確定拠出年金)
iDeCoと企業型DCとは、掛け金を自分で決めて毎月積み立て、株式や債券等の商品で運用し、60歳以降に受け取ることができる制度です。
運用商品ですのでプラスになることもあれば掛け金よりマイナスになる可能性もあります。
金融機関ごとに選べる商品が異なるため、どこでも一緒ではありません。
- iDeCo(個人型確定拠出年金)はその名の通り個人で加入する確定拠出年金であり、会社に制度がなかったり自営業者やフリーランスの方が加入可能です。
掛け金は5,000~68,000円/月(付加年金、国民年金基金合算) - 企業型DC(企業型確定拠出年金)は会社員や公務員の方が加入可能です。
掛け金は3,000~55,000円/月
マッチング拠出により掛け金を上乗せすることが可能です。
メリット
- 税金が控除される
iDeCoの掛け金と企業型DCのマッチング拠出による掛け金は全額所得控除を受けることができます。
課税所得 | 所得税 | 住民税 | 掛け金24万円/年の場合 控除額 |
195万円未満 | 5% |
10%
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36,000円
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195~330万円未満 | 10% |
48,000円
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330~695万円未満 | 20% |
72,000円
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695~900万円未満 | 23% |
79,200円
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900~1,800万円未満 | 33% |
103,200円
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1,800~4,000万円未満 | 40% |
120,000円
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4,000万円以上 | 45% |
132,000円
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年収の高い人ほど控除を受けることができますので、将来の資産形成にお得な制度となっています。
iDeCo加入者の掛け金は平均で16,000円となっています。
- 受け取り時にも控除を受けられる
一時金として全額を受け取る場合は退職所得控除を利用することができます。
勤続年数もしくは積立期間に応じて控除金額は変動します。
勤続年数 | 退職所得控除 |
20年以下 | 40万円×勤続年数(80万円以下のときは80万円) |
20年以上 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
年金として受け取る場合
65歳未満の場合は60万円、65歳以上の場合は110万円の公的年金等控除を所得から差し引くことができます。
- 企業型DCとiDeCoは併用することができる
2022年から企業型DCとiDeCoは併用することが可能になりました。
企業型DCの掛け金は会社制度により異なります。マッチング拠出は会社掛け金と同額までしか上乗せできないため、もっと掛け金を増やしたいという人にはおすすめです。
マッチング拠出とiDeCoを併用することはできません。また、iDeCoの掛け金上限は20,000円のため、会社掛け金が20,000以下の人は検討しましょう。
- 運用商品は自分で選べる
運用商品は自分で選ぶことができるので最大限リスクをとる運用から全く変動しない商品を選択することも可能です。
年齢や自分の貯蓄額に応じて商品を選択しましょう。
デメリット
- 企業型DCの運用会社は選べない
企業型DCの場合、運用会社は会社指定となるため自分で運用会社を選ぶことができません。
世間で有名な全米株式やS&P500は選べない可能性があります。
- 受け取り時に税金がかかる
所得控除を受けることができますが、結局受け取り時に税金がかかります。
NISAは運用した利益が非課税なので混同されがちですが、受け取りに向けた対策(出口戦略)が必要になります。
- 60歳になるまで資金拘束される
60歳になるまで引き落とすことができないため、急にお金が必要になったときに使うことができません。
企業型DC運用について
企業型DCで初めて株を意識した人も多いのではないでしょうか。
私の会社では10年ほど前から企業型DCがスタートし、訳も分からず説明を受けて、アンケートに答えて算出された投資割合に合わせて運用商品をよくわからないまま選択した記憶があります。
世間で投資のことなど一切話されていない時代でしたので、理解している人はほとんどいなかったと思います。
私の加入しているA信託銀行にログインすると、企業型DCのA信託銀行全体や所属会社の運用利回り分布をみることができます。
母数は不明ですが、相当な人数と思われますので信頼性はあるかと思います。
その分布によると、株高になっている過去1年間で区切っても
約15%の人が運用利回り0%、マイナスになっている人も数%います。
(私は31.3%の運用利回りでした。一番高い人は40%の運用利回りでした。)
運用商品の選択は人それぞれです。引退間際の人もいたり、もう十分資産形成はできているからリスクは取らないという人もいるでしょう。
私の運用商品は株価が下落した場合一気に下がるリスクを持っています。
自分で理解して選択している人にいうことは何もありません。問題なのは資産形成ができていないのに勉強をしていない人です。
私の運用会社に、世間で有名な全米株式やemaxis slim 全世界株式等はありませんでした。
勉強し始めた時の私は何で運用すればいいのかわかりませんでした。同じように悩んだ人も多いのではないでしょうか。
そこで、世間では有名でないMSCIコクサイというインデックスがないか確認してみましょう。
これは日本以外の先進国を対象とした指標になります。
最近は日本も株高になっているのであまりいわれなくなりましたが、日本円で給料をもらっている人は株は日本以外にかけた方がいいともいわれていました。
卵は一つのかごに盛るなの格言の通り、全世界に分散した投資信託であれば80点は取れてると考えてもいいのではないでしょうか。
まとめ
- iDeCo(個人型確定拠出年金)と企業型DC(企業型確定拠出年金)は税金の控除を受けることができますが、新NISAが始まり1人1800万円まで非課税枠が増えました。
新NISAはいつでも引き出すことができる上、利益はすべて非課税ですので、受け取り時に税金がかかるiDeCoや企業型DCより使い勝手がいいといえます。 - 60歳まで資金拘束されることはメリットとデメリット両方あります。
初心者は短期売買を繰り返して失敗する人が多く、一番利益が出ている人は株を買ったことを忘れている人か亡くなった人だというジョークもあるくらいです。
お金に余裕があり、株の誘惑に負けそうな人は向いている制度とも言えます。